どんなワンちゃんでも必ずお世話になる動物病院。
その選び方について考えてみませんか?
その動物病院、どうやって決めました?
愛犬家の皆さんは、ワンちゃんのかかりつけの動物病院をどうやって決めましたか?
「家に一番近いから」
「お散歩コースの途中にあるから」
「愛犬仲間から薦められた」
「有名な先生がいるから」
「ネットで評判を調べた」
「院長のブログを読んで考え方に共感した」
など、いろいろな理由があると思います。
きっかけはどうであれ、今の動物病院と獣医師に満足しているなら問題なし。信頼できる動物病院と出会えてラッキーといえるでしょう。
ただ、残念ながら、
「どうもしっくりこないけど、他の動物病院を知らないし、昔から何となく通っている」
「他の動物病院でセカンドオピニオンを聞いてみたい」
という飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
“そのとき”のために――。病院選びは慎重に
健康なワンちゃんで、毎年のワクチン接種や定期健康診断で動物病院にお世話になる程度であればいいのですが、愛犬の大きな怪我や重篤な病気、長期の治療を必要とする病気の場合、動物病院選びはとても重要。
獣医師の治療方針に納得でき、安心して治療を任せられる、信頼できる動物病院である必要があります。
特に、シニア犬で長期の治療を必要とする疾患の場合は、「愛犬を看取らなければならないかもしれない」という覚悟も含め、動物病院と二人三脚で愛犬と向き合うことになります。
辛い話ですが、“安楽死”という選択肢も出てくるかもしれません。
しかし、ペットの終末医療については、当然のことながら獣医師によって考え方や治療方針が異なります。
獣医師の方針が飼い主さんの希望と異なった場合、
「納得のいく処置をしてもらえなかった」
「不本意な治療で愛犬をかえって苦しめてしまった」
「もっと違うことをしてあげられたのではないか」
という後悔が残ってしまうことがあります。
実際、その後悔の念を抱えたまま、深いペットロスに陥ってしまう飼い主さんはたくさんいらっしゃいます。
万が一のとき、そして、いつか必ずやってくるお別れのときに、愛犬に最善のことをしてあげるためには、お世話になる動物病院を早めに定めておくことが大切なのです。
動物病院の数
ところで、動物病院は全国にどのくらいあるのでしょうか。
農林水産省のデータによると、犬猫、うさぎ、ハムスターなどいわゆる小動物を対象にした動物病院は、全国に11,486件あります。
1位. 東京 1,621件
2位. 神奈川 1,028件
3位. 大阪 784件
4位. 埼玉 695件
5位. 千葉 634件
・
・
・
47位. 福井 42件
(平成28年3月25日公表 農林水産省「平成27年都道府県別飼育動物診療施設の開設届出状況」より)
もちろん中には猫専門、うさぎ専門、エキゾチックアニマル(※)専門、鳥専門、魚専門などの特殊な専門動物病院もありますが、一般的な総合動物病院の数は、ここ数年、都心部などの限られたエリアによっては、ペット飼育頭数とのバランスから“飽和状態”ともいわれています。
選択肢が多いからこそ、どの動物病院にお世話になるのかということは、飼い主さんにとって悩みどころといえるでしょう。
※エキゾチックアニマル…明確な定義はないが、一般的に犬猫以外の小動物を指すことが多い。フェレットやハムスターの他、うさぎ、爬虫類、鳥を含むことも。
病院によって大きく異なる治療方針
最近はペット医療の現場でも、人間でいう東洋医学の要素を取り入れた治療が知られるようになってきました。
以前は一部の獣医師が導入していた、オーガニックのサプリメントを重視した治療方針や、ペットに対する鍼灸やマッサージ、ホメオパシーなど、いわゆる“自然療法”といわれる分野の治療を得意とする動物病院は、全国的にも少しずつ増えつつあります。
一方で、そうした要素は取り入れず、従来の西洋医学に基づいた治療方針に徹する動物病院もあります。
こうした治療方針の違いは、ペットの予防医療、終末医療に関して特に大きく影響が出ますので、愛犬が元気なうちに、自分はどちらの方針を選ぶのか考えておくといいかもしれません。
また、日頃から家族と話し合っておくことも大切です。
(末期ガンの愛犬の治療方針を巡って大げんかになり、愛犬が亡くなった後、離婚の話まで出た夫婦を知っています。)
「この先生に診てほしい」と思えるかどうか
動物病院は約6割が個人経営であり、獣医師(院長)の治療方針やペットに対する考え方などを、HPやブログで積極的に説明する傾向があります。
まずはそれらをじっくり読んでみて、その考え方に賛同できるかどうか確かめてみることをお勧めします。
人間の医療と違って、ペットの医療はペット自身が選ぶことはできません。
愛犬にとって何がベストなのか、私たち飼い主は、それを想像して代わりに選んであげることしかできません。
だからこそ、最終的に「この先生になら、うちの子をお任せできる」と思えるかどうか、それこそが一番大切なのではないでしょうか。