9月30日の土曜日、秋晴れの駒沢オリンピック公園で『2017動物感謝デー in JAPAN “World Veterinary Day” 』が開催されました。
ペットだけでなく他の動物や畜産にもスポットを当て、一般の犬猫イベントとは少し趣の異なるこのビッグイベント。
ワンちゃん連れの方はもちろん、たまたま公園に遊びに来ていた家族連れやジョギングを楽しむランナーたちでにぎわった会場の様子をご紹介します。
獣医師の役目を改めて考える
『動物感謝デー』は「楽しみながら獣医師を知り動物を学ぼう!」というキャッチフレーズの通り、日本獣医師会主催のイベントです。
獣医療の観点から人と動物の関わりを見つめ、獣医師の役割や獣医療の実情を広く啓発することを目的としています。
獣医師と聞くと私たちは犬猫動物病院しか浮かびませんが、考えてみれば、馬や牛、豚、鶏など畜産においても獣医師の役割は重要で、私たち国民の食生活や健康に直結しているのは、むしろそちらのほうかもしれません。
それを思い出させてくれる文言が『動物感謝デー』の開催趣旨書の「趣旨と目的」に記載されていましたので、抜粋してご紹介します。
私たちが飼育する様々な動物たちは、
1 動物性たんぱく質の供給源として、また、
2 家族の一員、生活の伴侶として国民生活に貢献するとともに、最近では、
3 補助犬等の介護・福祉分野や、学校での動物飼育を通通じた教育分野に対する貢献、更には、
4 野生動物の生物多様性の確保・自然環境保全のモニターとしての役割や、
5 動物介在療法(アニマルセラピー)や災害救助犬の活躍といった人の健康や生命を守る役割を果たす等、
国民にとって身近でかげがえないものとして、その存在と位置づけが大きく変化し、クローズアップされてきています。
動物の位置づけの最初に「動物性たんぱく質の供給源として」とあることに、改めてハッとさせられます。
だからこそ、単に「動物デー」とか「動物愛護デー」なのではなく、『動物感謝デー』なのかもしれません。
楽しいイベント会場
そんな“動物と命”のことを考えるイベントですが、会場は至って楽しい雰囲気。
ペットフードやペットグッズのブースが並び、インスタ映えしそうなワンちゃんのフォトスポットに行列ができるのは、他のペットイベントと何も変わりません。
ハロウィンのディスプレイの前でチワワの写真を撮っていた女性2人組に話しかけてみたところ、『動物感謝デー』のことを知らずにたまたま駒沢オリンピク公園に遊びに来たそうです。
『動物感謝デー』のイベント概要のことを話したら「どうりであっちにいろんんな獣医大学のブースが出ているんですね」と納得していました。
親子で学ぶ動物福祉、獣医療
このような動物とふれあう体験型イベントの大きな意義のひとつは、親子で参加することで、“家族のおでかけイベント”という楽しい思い出とともに、動物への興味と理解が自然に培われることです。
ペットを飼ってみたいという気持ちのほか、「将来は獣医さんになりたい」と思う子もいるでしょう。
また、『動物感謝デー』のように畜産にも触れるイベントは、普段学校や家庭で教え切ることができないテーマと親子で向き合う、良いきっかにもなります。
ステージでは「島根県獣医師会 しまねっこダンスステージ」「東京都獣医師会 『殺処分0』〜そのために目指すべき様々な『0』について考える〜」「World Veterinary Day 〜アジアからの獣医師を迎えて〜」「狂犬病臨床研究会 世界狂犬病デー in JAPAN」「家族の絆―マイクロチップ」「農場どないすねん研究会 知っていますか? 獣医師の仕事」が行われました。
動物のことを考えるきっかけに
ペットや動物に関するイベントは、元々動物好きな人であれば事前に開催をチェックし、時間をとってわざわざ足を運ぶことでしょう。
一方で、興味がない人にとってはどこまでも興味の対象外。しかし、そういう人たちにこそ興味を持ってほしい様々なテーマや問題があります。
都心の公園での楽しいイベントを通じて動物と人の関わりについて考える。そうしたことが小さい頃から当たり前になっていけば、日本の動物をとりまく環境も少しずつ変わって行くのではないでしょうか。