必ずやってくる愛犬の「老い」。
それは、私たち人間が思っているよりもずっと早く訪れます。
高齢期を迎えた愛犬に飼い主さんがしてあげられることは?
そして、シニア犬のお世話や介護をしている飼い主さんに、周りがしてあげられることは?
ペットと暮らす以上、必ず向き合わなくてはならないこのテーマを考えます。
何歳からシニア犬?
あなたの愛犬は今何歳ですか?
まだまだ若いワンちゃんも入れば、既にシニア犬(老犬)のワンちゃんもいることでしょう。
個体差もありますが、一般的に小型犬・中型犬は10〜11歳、大型犬は7〜8歳くらいからシニア犬の仲間入りをするとされています。
愛犬家の皆さんの中には、これまで高齢のワンちゃんのお世話の経験や、辛いお別れの経験がある方もいらっしゃると思います。
「まだ」という飼い主さんも、いつか必ず愛犬の「老い」と向き合う日がやってきます。
私たち人間より速いスピードでやって来る愛犬の「老い」。その時私たちは何ができるのか、何をしなければならないのか、日頃から情報を集めて早めに心の準備をしておくことが大切です。
ペットの高齢化で生じる諸問題
フードの改良、獣医療の進歩、室内飼いの普及、ワクチン接種の徹底などいろいろな要因で、ペットの寿命はこの20年で飛躍的に伸びました。
それはとても喜ばしいことである反面、これまで想定していなかった様々な問題が起きていることもまた事実です。
高齢化に伴う病気、認知症、高齢飼い主さんと高齢ペットの“老老介護”、寝たきりになった大型犬のお世話(介護)の大変さ、介護疲れなど、それはまるで、私たち人間の介護にまつわる問題の縮図のようでもあります。
また、年老いた犬や猫をもてあました心ない飼い主が、飼育放棄して保健所に持ち込んだり遺棄したりするという事例も起きており、深刻な問題となっています。
中にはやむを得ない事情を抱えている場合もありますが、そうした悲劇がなくなることは、愛犬家の皆さん共通の願いではないでしょうか。
注目を集める「老犬ホーム」
そんなペットの高齢化が進む中、近年注目されているのが「老犬ホーム」の存在です。
高齢者がペットと一緒に入居できる高齢者施設や、預けたペットを終生飼育してくれる施設、終生飼育ではなく高齢ペットを一時的に預かる、いわゆるデイザ―ビスを行っている施設など、いろいろな形態がありますが、現在は法律などで明確に「老犬ホーム」の要件が定められているわけではありません。
運営している組織・団体も様々で、NPO法人もあれば株式会社、個人の場合もあります。
施設規模、料金も地域によって大きく異なります。
中には劣悪な飼育環境であったり、きちんとした運営がなされていないケースもあるので注意が必要です。
後編ではそんな「老犬ホーム」のひとつの例として、神奈川県平塚市にある老犬ホーム、『オレンジライフ湘南』をご紹介します。