記録的な寒波が日本列島を襲っています。
寒さはまだまだ続き、特にこれから2月にかけては最も気温が低く、雪や氷で路面は冷えきっています。
そんなときに気になるのが愛犬のお散歩。犬は寒さに強いといわれていますが、犬種や年齢、飼育環境によって異なります。
この時期のお散歩で気をつけたいことをまとめてみました。
犬は本当に寒さに強いのか?
「こたつで丸くなる」猫に対して、犬は寒さに強く、雪が大好きなイメージがあります。記憶に新しい1月22日の東京の記録的な積雪の後は、ワンちゃんが庭で雪まみれになって走り回っている動画がSNS上に溢れました。生まれて初めて雪を見たワンちゃんも多かったことでしょう。
寒冷地域に住んでいたオオカミを祖先に持つイヌは、基本的に寒さに強いDNAを持っているといわれています。
熱を蓄え寒さをしのげる被毛(ダブルコート)のほか、イヌの体で特徴的なのは肉球です。あのプニプニとした肉球の内部には「動静脈吻合」という特殊な構造の血管あり、肉球が冷えると自律神経が動き動静脈吻合が拡張、血流量が増加することで血液の冷え過ぎを防ぎ凍傷になりにくい仕組みになっているのです。
これは、同じ肉球でも猫の血管とは構造が違っており、猫は寒さに弱く犬は強い、というのはあながち間違いではありません。
寒さに弱い犬種
同じ「イヌ」であっても、当然のことながら全ての犬種が寒さに強いわけではありません。シングルコートの犬、体脂肪が少ない犬、暖かい地域が原産国の犬、小型犬は人間が思っている以上に寒さに弱いので注意が必要です。
日本の家庭で一般的に飼われているチワワ、トイプードル、ヨークシャーテリアなどの人気犬種は寒さに弱い犬種の筆頭です。
チワワは見るからに寒さに弱そうですが、毛がふさふさとしているヨークシャーテリア、モコモコのトイプードルは寒さに強いと勘違いしている飼い主さんもいらっしゃいます。しかし、シングルコートの被毛は寒さに弱く、体が小さい分熱も奪われがちです。
そのほか、体脂肪の少ない犬種としてミニチュアピンシャー、イタリアングレーハウンドが挙げられます。
寒さに強い犬種
同じく人気犬種でも、柴犬は逆に寒さに強い犬の代表です。柴犬のほか秋田犬などの日本犬は、厳しい日本の冬を乗り越えて来たDNAを持ち耐寒性・耐雪性に優れています。
寒冷地が原産国の大型犬で寒さに強い犬種といえば、シベリアンハスキー(原産国シベリア)、バーニーズマウンテンドッグ(原産国スイス)、ラブラドールレトリバー(カナダ)などが挙げられます。イギリス原産のゴールデンレトリバー、コーギーも寒さに強く、どの犬種もダブルコートの被毛で熱をしっかり蓄えることができます。
しかし、寒さに強い犬種であってもシニア犬の場合はうまく体温調整ができないことがあります。また、これまでの飼育環境で寒さに対する慣れが違いますので、犬種にとらわれず、ワンちゃん1匹1匹の状況に応じて寒さ対策をしてあげることが大切です。
雪の日のお散歩の注意点
寒さに強いワンちゃんでも、雪道のお散歩では注意が必要です。
雪国のお散歩トラブルでよくあるのが、雪で隠れて見えなかった瓦礫や鋭い木の枝を踏んでしまい、ワンちゃんが怪我をしてしまうこと。出血があれば雪に赤い血が付くので飼い主さんもすぐ気付けますが、軽い怪我の場合は気付かず、後に悪化してしまうことがあります。お散歩後に肉球の様子をチェックする習慣をつけておきましょう。
怪我の防止、凍傷の予防には犬用ブーツが有効ですが、雪が降った日にいきなり履かせようとしても嫌がるワンちゃんがほとんどです。いざというときにサッと履かせられるよう、普段から慣らしておきたいものです。
お散歩後のケア
凍傷になりにくい構造の肉球を持つワンちゃんですが、長い時間冷たい雪や凍った路面の上を歩いていると、霜焼けに近い状態になることがあります。霜焼けは飼い主さんが肉球を見ても症状がよくわかりませんが、ワンちゃんが執拗に肉球を舐めている場合は要注意です。肉球に痛みや痒みがあるのかもしれません。
お散歩が終わって帰宅したら必ず肉球をチェックし、暖かいお湯で濡らしたタオルなどで拭き取ってあげましょう。その後肉球保護クリームでマッサージしてあげるのがベストです。
様々な肉球ケアクリームが販売されていますが、ワンちゃんが舐めても問題ないよう、植物成分のクリームやローションを選んでください。
飼い主さんのマナー
雪国のお散歩シーンでよく見かけるのですが、雪の上でおしっこをすると、その跡はかなり目立ちます(笑) 真っ白な雪の上に、ワンちゃんのおしっこ……。正直、見てあまり気持ちの良いものではありません。特に、犬嫌いの人にとっては見るたびに不快感がわき、犬嫌いに拍車をかける一因にもなっているようです。
ワンちゃんがおしっこをしたらその上に近くの雪をかぶせるなど、ちょっとした配慮を心がけましょう。
そして、飼い主さんが真冬のお散歩で気をつけたいこと。実はこれが結構多い「飼い主さんあるある」なのですが、寒さで外出が億劫になり、ついお散歩を後回しにしてしまうことです。
もちろん、寒さが厳しすぎる日や大雪の日、飼い主さんが体調を崩しているときなどは無理する必要はありませんが、愛犬のお散歩という半ば”義務”の日課がそのままいい運動になると思って、ワンちゃんとの外出を楽しみたいものですね。
寒さはまだまだ続きますが、それでも確実に春はやって来ます。愛犬と一緒にゆっくりと移り行く季節の中で春の兆しを見つける喜びは、ワンちゃん飼い主さんだけの特権なのです。